Essay


●●● 雑草 ●●●

 

 雑草を抜きは、骨が折れる作業ですが、私は決して嫌いではありません。
 抜いても抜いても生えてくる雑草の逞しさ。花壇の草花の間に上手く入り込んで、いつの間にかはびこるその狡猾さ。引っ張ると簡単に千切れるくせに、根だけはしっかり地中に残して、子孫繁栄を図るしたたかさ。本当に手に負えない連中なのですが、何故だか陰湿さがないでしょう?
  雑然としたアジアのマーケットの中で、子どもを背負って、大声出してものを売っている元気だけが取り柄のオバちゃん-------人に例えるならそんな感じでしょうか。家族が多くてクヨクヨしている暇なんてないヨ、不遇だけれども楽しいヨ、と、どこまでも強く明るく生き抜いて……。
 地味だけれども、ちゃんと花も咲かせるし、タネも実る。引き抜かれてもへこたれず、どんな隙間も見逃さず。チャンスがあればすぐ手を広げる。
 「自分にだってお天道さんは当たっているし、大地も栄養をくれてるんだ!」と、くじけない。いじけない。懲りない。媚びない。これは、凄いことなのです。
 しゃがんで雑草を抜いていると、指先を通して、そんな強いエネルギーが伝わってきます。

(2002年の個展『山のくらし』より)


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